独立行政法人国立青少年教育振興機構 国立立山青少年自然の家

立少で体験しよう!

体験プログラム

《登山》立山 雄山(おやま)[3003m]〜 登山の真髄、3003m雄山(おやま)の頂上へ 〜

適期
7月~9月
所要時間
1日
対象
雄山 小・高学年~、三山縦走 中学生~
主なねらい
◎たくましい体と心を育てる

雄山3003mで

自然の家から見る立山連峰と常願寺川

雷鳥沢からの風景

室堂から一ノ越に向けて(稜線の頂上が雄山)

日程例

6:30 早出し朝食
7:30 団体発注のバス出発
9:00 室堂(2450m)を出発
10:00 一ノ越 休憩
11:30 雄山頂上(3003m) 昼食
12:30 下山開始
15:00 室堂発
17:00 帰着

コース概要

室堂(2450m)~ 一ノ越(2705m)~頂上(3003m)

室堂ターミナルの駐車場へバスで到着 降車

室堂ターミナルの中の階段を上り屋上へ

ターミナル屋上から見る立山

ターミナルから一ノ越に向かう石畳

目指すは一ノ越 (1時間程度)

途中雪渓2箇所~3箇所有り

一ノ越前の最後のつづら折り

一ノ越前の最後の階段

休憩 後ろは一ノ越のトイレ

いよいよ頂上に向けて出発

急斜面のガレ場

三ノ越到着 休憩

頂上 社務所で休憩

登頂記念写真ポイント

社務所のそばの頂上峰本社(3003m)

高山植物も楽しみの一つです

高山植物も楽しみの一つです

雷鳥 運がいいと出会えます

1.用具等について

(1)日帰りの場合《必要に応じて(2)を加える》

  • 個人……ナップザック、水筒、雨具(上下)、帽子、手袋、ごみ袋、筆記用具、厚手靴下、サングラス(雪のある場合)、セーター、ロールティッシュ、非常食(お菓子甘味料 等)
  • 指導者……個人携行品の他、地図、コンパス、ホイッスル、無線機(要申請書)、トランシーバー、救急薬品(鎮痛剤、酔止、解熱剤、胃腸薬、固定テープ、三角巾、副木)

(2)日帰りの場合《必要に応じて(1)に加える》

  • 個人……着替え(靴下等も含めて)、懐中電灯、トレッキングシューズ
  • 指導者……ザイル、ピッケル(雪渓など危険個所の安全対策用・日帰りでもあればよい)

2.登山開始直前の指導(室堂ターミナルで)

(1)健康チェック

  • バス酔い・腹痛・類高山病症状がないか、しっかり調査する。
    ※症状が重い場合の対処のしかた(類高山病症状~頭痛、めまい、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐)
    ※所との無線連絡を忘れない

(2)用便の徹底

  • 途中の公衆便所は一ノ越のみである。
  • 地獄谷巡りや縦走の場合の公衆便所は、雷鳥沢にある。

(3)服装等の確認

  • 気象条件に応じた適切な服装をする。真夏でも3000m級の稜線では朝夕10度を下回り、さらに強風が吹いて体感温度は冬並となる場合もある。
  • シューズのひもをしっかり結ぶ。
  • 帽子をしっかりかぶる。(特に風の強いときは注意)
  • リュックザックを確認する。(ひもが結んであるか、ザック以外に首や肩に物を下げていないか、ザックが体から下がっていないか、他)

(4)登山隊形の確認
(例)1班2班・・・n班
(先導者)(リーダー)・・・(リーダー)・・・(リーダー)・・・(リーダー)・・・(救護担当)(後尾者)

  • 弱い子をできるだけ前に位置させる。
  • フリーの指導者を配置し、緊急時の対応者とする。
  • 対応が必要と予想される場所(室堂、一ノ越、三ノ越、頂上)

3.室堂(2450m)~ 一ノ越(2705m)の指導

(1)歩行

  • 原則として1列とする。
  • 先導者は全体のペースを考慮してゆっくり歩き、列の間ができるだけ開かないようにする。(後ろほど徐々につらくなる)
  • 間が開いても絶対に走らないことを指示する。
  • 後尾者は全体の状況をよく観察し、先導者と無線連絡を取り合う。

(2)休憩・休息

  • 休憩は一ノ越でとる。
  • 休息は普通は30分に1回とする。
    ※休息予想場所~祓堂(ただし、下山時はとる必要はない)
  • 休憩・休息場所は広場を原則とし、雪渓やガレ場を避ける。
  • 休憩時はザックを下ろさせて、楽にさせる。休息時間は状況に応ずる。
  • 水の補給は、一度に大量に飲ませず、回数を分けてこきざみに飲ませる。 なお、雪渓の水等、生水は飲ませない。

(3)雪渓

  • 例年は第1~第3の雪渓が考えられる。
  • 第1雪渓の歩道の下は、がけ場になっているので特に注意させる。
  • 雪渓では歩道以外を歩かせない。
  • 雪渓横断中は、光景を眺めるのは避け、足元をしっかり見つめさせる。
  • 雪渓では、前の人との間隔を普通以上に開け、押したり走ったりさせない。
  • 雪渓に入る時には、一度列の乱れを整える。
  • 朝早い時や気温の低い時は、氷状になりやすいので特に気をつけさせる。
  • 指導者は必要に応じ、ピッケルでカッティングする。
  • 指導者は歩道の下に立ち、全体の横断状況を把握するとともに、時々声をかけ、緊張させることが必要である。
  • 下山時の雪渓では、シューズが滑りやすいので特に気をつけさせ、かかとに力を入れ、踏み付けるように歩かせる。

4.一ノ越での指導

(1)健康チェック

  • この高さで類高山病になりやすいので、しっかり調査する。
    ※類高山病の症状が現れた場合の対処 (症状~酸素不足による頭痛、めまい、倦怠感、食欲不振、吐き気等)
    ※症状の度合いによっては下山も考慮する。
    ※室堂到着後は、前記2の(1)の要領による。
    ※所との無線連絡を忘れない。

(2)用便の徹底

  • 頂上まで便所がないので、用便をさせておく。

(3)休憩

  • 東一ノ越側はがけ場であり、二ノ越側は落石の危険があるので注意させる。
  • 風が強い場所なので、帽子等を飛ばさないように気をつけさせる。
  • 気温が低い場合は、休憩時間を余り長くとらない。

(4)登山判断

  • 悪天候の場合は、リーダーと山頂登山の決行か否かの判断をする。

(5)点呼と登山隊形の確認

  • 点呼はしっかりとし、登山者数・残留者数を確認する。
  • 登山隊形を再度確認するとともに、元気づけることを忘れない。
    ※下山後も上記同様。特に下山後は、一ノ越で気がゆるみがちになる。 室堂に着くまで気をゆるめないよう指導する。

5.一ノ越 (2705m)~雄山頂上(3003m)の指導

◎一ノ越、二ノ越、三ノ越、四ノ越、五ノ越(頂上)には、それぞれ祠があるので、指標とする。
(1)歩行

  • 急斜面なので小股で歩かせる。
  • 先導者の誘導どおりに1列で歩き、勝手な行動をとらせない。
  • 浮き石に足や手をかけさせない。(あわてず石の確認をして、足や手をしっかり乗せる)
  • どんな小さな石でも落石があった場合には、気付いた者が声を出すことを指導しておく。
  • 必ず手袋をさせる。
  • 足元ばかり見ていないで、適宜、前後に注目させる。 危険な岩場では、フリーのリーダーが立って安全に通過させる。
  • 列が開くと先導者の誘導路が分からなくなるため、時々列の調整を行う。そのためにも、後尾者は、前方の確認をよく行ったうえで全体状況を把握し、先導者と連絡をとり合う。
  • 下山時は、間隔がつまり過ぎて、押したり走ったりしないようにさせる。
    • 一ノ越~二ノ越・・・ガレ場、急斜面
    • 二ノ越・・・・・・・岩場(狭い)
    • 二ノ越~三ノ越・・・ガレ場(一部)、急斜面
    • 三ノ越・・・・・・・広場
    • 三ノ越~四ノ越・・・石多い
    • 四ノ越・・・・・・・岩場
    • 四ノ越~五ノ越・・・頂上に近い

(2)休憩

  • 休憩は、三ノ越(広場)でとるとよい。
  • 簡単な健康チェックを行う。異状があった場合には、三ノ越に残すか、一ノ越へ下ろすかを判断する必要がある。
  • 三ノ越以外での休憩や休息は危険箇所もあり、特別な場合を除いて避けたほうがよい。 なお、下山時の三ノ越での休憩は不要である。

6.雄山頂上 (3003m)

  • 健康チェックをし、異状があった者については、必要に応じ社務所にお願いをして休ませる。
  • 便所の場所を教えておく。
  • 黒部湖側は、がけ場になっているので特に注意させる。
  • 大汝山方面へは勝手に行かせない。 狭い場所なので、押したり、走ったりさせない。
    ◎登頂成功をほめるとともに、全体で感激し合うように指導する

7.その他

  • 無線連絡場所《室堂、一ノ越、三ノ越、頂上》
  • 着発ともに、所に連絡する。(その他、必要に応じて連絡)
  • 室堂、一ノ越の残留者の付き添い者との連絡を随時とり合う。
    建物内部にいると無線連絡がつきにくいので、残留付き添い者は、できるだけ見通しの良い場所にいるよう心がける。
  • 中学生以上の健脚者なら、雄山登山に加え、浄土山(2831m)または大汝山(立山連峰の最高峰=3015m)の登頂を計画することもできる。また、三山縦走や雷鳥沢キャンプを実施することもできる。集団登山で雄山以外のルートに入るときは、登山ガイドを依頼することをおすすめする。 登山ガイドの依頼は、直接、立山ガイド協会へお申し込みください。